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こないだケーキ屋さんで、ナポレオンパイを買おうとしたんですよ。ナポレオンパイって言うのは苺がたくさん乗ったミルフィーユのことですね。

私は苺もカスタードもパイも大好き。多彩なケーキが並ぶショーケースの中でも一際輝くナポレオンパイの魅力的なことと言ったら!パイ生地は見るからにサクサクで、たっぷりのカスタードにはバニラビーンズの粒が見えていて、上に乗せられた苺はゼラチンで固められキラキラとまるで王冠のように光っていました。

しかしそこであることに気付きます。ショーケースの中の、店員さん側のナポレオンパイに乗ってる苺が極端に少なかったんです。多分ホールケーキを切り分ける際に偶然めちゃくちゃ苺が少ないゾーンが生まれてしまい、そこがこれなのでしょう。そして置かれてる位置的に、注文するとそのすかすかナポレオンパイが選ばれてしまいます。

ナポレオンパイはお値段も少し張るのにちょっとこれは嫌だなぁ…。
少しの躊躇いの後、私は店員さんに

「すみません、ショーケースの前の方のやつをいただけますか?」

と尋ねました。
特に問題はなかったようで、「かしこまりました〜」と店員さんが前の方のナポレオンパイを取ろうとした、

  ーーーそのとき。



「 前の…!?(笑) 」



小声のつもりだったんでしょうがまあまあの声量でした。
振り向くと、後ろに並んでいた若い女性2人がさっと目を伏せ「やべっ」みたいな顔。どうやら内輪で小馬鹿にしたかったものの、私に聞こえるとは思っていなかったのでしょう。

しかし聞こえてしまったからには


「よくもまあ恥ずかしげもなく、より苺が乗ってるケーキを指定できるものですねぇ」

「感服いたしますよ、私なら恥ずかしくて言えないなあ」


と罵ったも同然なわけです。


そこまで侮辱されて黙ってるわけにはいきません。私は愚地独歩よろしく「なんだぁ?てめぇ…」と小娘らににじり寄り、
「お前がそのスッカスカのナポレオンパイを食え!!!!」
と叫びながら2人の体を一瞬で粉砕し、亜空間へとばら撒きました。



まあそれは嘘で普通に無視してお会計を済ませ退店しました。

ナポレオンパイ、とっても美味しかったです。


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